見えにくい、見つけにくい。だからこそ、この時期にしっかりトレーニング


5月になって暖かさも安定し、日中は半袖でも過ごせるようになってきました。
お散歩には最適なのですが、この時期になると、葉陰に隠れて鳥の姿が見つけにくくなります。しかし、この時期に公園などで、「小鳥を見つける集中トレーニング」をしておくと、いつ、どこにいっても野鳥を楽しむことができるようになります。
葉陰の鳥を見つけるコツをつかむための練習にぴったりの鳥がいます。シジュウカラです。



“白いほっぺ”と“黒ネクタイ”


シジュウカラはスズメより少し小さいくらいの大きさ。周囲を黒に囲まれた“白いほっぺ”がまず目に飛び込んできます。また、胸から腹にかけて中央に太い黒い線があるのが大きな特徴です。


この黒線を、バードウォッチャーは“黒ネクタイ”とよく呼びます。実は、このネクタイには2つの秘密がありますが、それは後ほどお伝えします。


元気ハツラツ!


シジュウカラは木にいる虫をよく食べる小鳥です。写真のような大きな木がある緑の多い公園や雑木林にでかけましょう。



そして、もし嫌でなければ、葉に餌となるイモムシがいないかも探してみましょう。


写真のような虫が見つかれば、まず間違いなくシジュウカラはいます。
シジュウカラの探し方は、視野に木の全体像を入れるような感覚で探し、元気に飛び回る姿をまず追い、太い枝に止まったり、枝先にやってきたときに双眼鏡に入れるようにするとよいでしょう。


シジュウカラは身近な鳥でよく紹介され、ベテランが初心者の方に観察を勧めるのですが、動きが速いため、双眼鏡で捉えるのは難しいケースもあります。連載も回を重ねて皆さんも双眼鏡の使い方にだいぶ慣れたとは思いますが、双眼鏡になかなか入らないようでしたら、まずは肉眼で追い続け、しばらくじっとしているときに双眼鏡で見るとよいでしょう。 
葉の陰になって姿が見えにくいですから、双眼鏡を見るのはたまにでもいいや!というくらいでもまったく問題ありません。


見やすいシジュウカラの出現を待ちましょう。そのような余裕が、バードウォッチングには大事なことが多いのです。観察を続けていれば、葉の少ない枝先に止まる姿や会えたり、見やすい場所に出てくるチャンスはいずれやってきます。




ネクタイの意味


シジュウカラの“黒ネクタイ”には秘密があると書きましたが、まず一つ目の秘密は、雌雄の差がこのネクタイの幅で分かることです。ネクタイが太いと雄、


細いのは雌です。


街の中にいる鳥の中で、スズメキジバトカルガモなどは雌雄がほぼ同色で、つがいが並んでいてもほとんどわからないのですが、このシジュウカラはネクタイの太ささえ確認できれば雌雄の判別ができます。 
二つめの秘密は、雄のネクタイの幅が太ければ太いほど、その雄が優位であること。細めのネクタイのシジュウカラの雄を捕獲し、染料で太く塗って再び野外に放すと、餌場での順位が高くなったという結果が外国の研究で出ています。
雄のネクタイの太さにも注目して観察し、鳥たちのそれぞれの事情に想いを巡らせるのも楽しいものです。
画像の雄はどうなのでしょうか。



ぶら下がって餌探し


シジュウカラは全長ではスズメより少し小さいくらいなのですが、虫を捕まえるために細い枝先や葉の先まで虫を探しにいきます。枝伝いに葉の裏を見ながら探しているケースが多いのですが、枝にぶら下がって虫を探すこともしばしばです。スズメより足のつかむ力が強く体重も軽いようです。




右利き、左利き、両足利き


虫を捕えたあとは、それを枝に叩き付けたりして食べます。


さらに、シジュウカラは餌を足で押さえつけて食べるという器用なことをします。


その押さえる足に利き足があり、右利き、左利き、両足利きがあります。もし足で餌を押さえて食べる行動を観察したときは、その鳥の利き足はどちらなのかをチェックしてみてもおもしろいです。



巣箱をよく使うシジュウカラ


シジュウカラは木のウロなどを営巣場所として利用します。3-4月ころには、つがいになったシジュウカラが巣材のコケなどを運ぶ姿が見られます。


適当なウロなどがない場所では巣箱をかけるとよく使います。


子供向けのイベントとして巣箱掛けが秋〜冬に行なわれますが、その巣箱が使われているかどうかを確認する場合、今は巣箱を直接覗いたり、そばに近づくのは控えてください。巣を放棄したり、利用している巣箱が天敵にわかってしまって卵や親鳥が襲われてしまうのです。巣箱の水抜き穴からコケが出ていたり、あるいは巣箱の入口につついた痕跡があるかどうかを、双眼鏡で見る程度に留めましょう。



ほっぺの黄色い奴


未熟な若者のことを“嘴の黄色い奴”と例えることがありますが、これは鳥の雛の嘴の周囲が黄色っぽいことに由来していると言われています。
シジュウカラも巣立って間もない雛は嘴の周囲が黄色いのですが、少しずつ独り立ちするとその黄色は消えていきます。親から離れて自力で生きていくようになっても、幼い鳥であることは見分けがつきます。その特徴は全体的に色が淡いのにくわえ、ほっぺが黄色みを帯びていることです。


シジュウカラの世界では、“ほっぺの黄色い奴”が、巣立ち後しばらくたった未熟な若者ということになります。

秋から冬は群れで行動


一年中日本に生息しているシジュウカラは、春から夏はつがいで生活し、秋から冬は群れで行動するようになります。

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だいたい数羽から10数羽なのですが、大きなものでは30-40羽になることもあるようです。樹上の餌が減ってくることから、地上でも餌探しを頻繁に行なうようになります。



森林を出てオオヨシキリが好むようなアシ原に行き、茎の中にいるカイガラムシという昆虫を探すこともあります。



枯れたアシ原で茎を割るパチパチという音が聞こえたら、それはシジュウカラからかもしれません。


バードウォッチング技術の向上は、シジュウカラから。


私が野鳥観察を始めて間もないころ、シジュウカラを追い続けたことがあります。身近な鳥と紹介されましたが、図鑑のようにきちんと見えることも少なく、また、森の中を探してもなかなかしっかり見えないことも多かったのです。しかし、諦めずに続けていると、目がシジュウカラの動きの特徴などを覚えていき、探す力が上がっていきました。


画像をクリックするとアップ画像が出ます

また、バードウォッチングを続けていると身近な鳥よりも珍しい鳥を見たくなる時期があり、私もその一人でした。ある島に行ったときに会った若い外国人バードウォッチャーが興味深いシジュウカラの話をしてくださり、身近な鳥にそんな不思議があるのかと当時中学生だった私には衝撃で、改めてシジュウカラを観察し直した時期があります。 
ちょっとした林があれば、どこにでもいるごく普通種のシジュウカラ。しかし、野鳥を観察することの楽しさを私たちの身近なところから、語り続けてくれている鳥です。すてきな隣人(鳥?)を、これからもしっかり見つめていきたいと私は思っています。


注1:公園や他人の私有地に巣箱をかけるときは、必ず許可をとるようにしてください。


撮影地:
神奈川県(座間市、茅ヶ崎市、秦野市)、埼玉県(入間市、狭山市、所沢市)、東京都(三鷹市)、長野県(信濃町)、北海道(七飯町)


お勧め機種:
シジュウカラは動きが速いので、双眼鏡で観察するのがよいでしょう。また、倍率はのぞいた方向の視野が広い8倍程度を選ぶとシジュウカラの姿が捉えやすくてよいと思います。10倍など、高倍率のものを双眼鏡の扱いに慣れてから使用されることをお勧め致します。

スピリットEDシリーズ
エンデバーEDシリーズ


カイツブリ足ヒレにについて
前回のカイツブリの足のヒレに関する画像を紹介します。



カイツブリの足のヒレは、カモとは役割は同じですが形状が少し異なっています。カモの足ヒレは指と指の間に膜がありますが、カイツブリの足のヒレは指一本から木の葉のように一枚ずつになっています。東京都井の頭自然文化園や滋賀県琵琶湖などの水槽で飼育されているカイツブリはヒレの様子や水中の泳ぐ姿が観察できますので、ご覧になる機会があるとよいかと思います。




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