木の幹にいるコゲラ


今回ご紹介する種類はコゲラです。


スズメほどの大きさの小さなキツツキで、一年中日本の林に生息しています。お腹側はやや白っぽい羽毛に褐色の斑点が連なるようについていて、背中側は黒と白の縞模様になっています。

白い紙の上に描かれたコゲラを見ると背中の縞模様は目立つのですが、実際に木の幹にいるときは、ただの木のコブのように見えたり、樹皮の色に似た見事な保護色になっていて、タカなどの天敵から見つけにくくなっています。



以前、コゲラを一緒に観察したある子供から「焦げたような色だからコゲラなの?」と聞かれたことがあります。実際は“小さなキツツキ”という意味ですが、このような自由でユーモアある発想は子供ならではと感じたひとときでした。

シジュウカラの見つけ方を応用


コゲラは主に山麓や里山の雑木林に生息する野鳥です。画像のような雑木林の中で、矢印のような木の幹に注目しましょう。


ピョンピョンと跳ねるように登りながら移動する姿を見つけることができると思います。


枝先にいることもありますので、前回シジュウカラの探し方で紹介した「視野を木全体に見渡すようにする」方法で探して見てください。初心者の方からよく「コゲラはなかなか見つけにくい」という声を聞くのですが、このシジュウカラの探し方を応用するとコゲラを見つけるのが速くなると思います。

木登りに特化した体のしくみ


コゲラの絵を描くとき、他の鳥を描くのとは異なる点が2つあります。まず尾羽をしっかり木の幹に付けることです。


普通の鳥は止まるときに尾羽を木の枝につけることはありません。尾羽が傷んで飛びにくくなるからです。しかし、コゲラは木にしっかりと尾羽の先端をつけ、体を三点で支えて安定させています。コゲラの尾羽は羽軸(うじく)がスズメやシジュウカラよりも硬く、摩耗に強くできています。また、脚の指が前2本後ろ2本ということも、普通の鳥とは異なる点です。これらの特徴は、木の幹を自在に動き回るために進化したものと思われます。

雄に赤いリボン?


コゲラの雌雄の差は雄の後頭部にある赤い羽です。


しかし、この赤い羽は数枚しかないので羽毛を膨らませたり、風で羽毛がめくれ上がったときにしか見えません。そのためこの赤い羽が見えたとき、バードウォッチャーたちは喜びます。ご多分にもれず、私もそんな1人です。
それにしても赤いリボンをしているのが雄なんて、なんか変な感じです。しかし、キツツキの世界では、雄の頭部が赤いことが多いので、きっとキツツキの“男らしさ”は、頭が赤いことなのだと私は考えています。

足音のする鳥!?


コゲラが枯れた木やマツの木などを登っていくときは、パリパリと樹皮に脚の爪が引っかかる音がすることもあります。


鳥は飛行のために体重を極限まで軽くしている生物なので、ほぼ足音はしないのが普通ですが、コゲラは姿が見えなくても気配を足音で感じられる“珍しい鳥”です。


日本産キツツキで、最小、最軽量


コゲラは日本にいるキツツキの仲間で、最も小さい種類の一つ。体も最も軽いことで、ほかのキツツキが止まれないような細い枝まで行くができますコゲラは日本にいるキツツキの仲間で、最も小さい種類の一つ。体も最も軽いことで、ほかのキツツキが止まれないような細い枝まで行くができます。


冬には、餌を求めてアシ原にやってくることもありますが、細い枯れ草にもしっかり止まることができます。



そもそも、木をつつくのは何のため?


名前の通り、木をつつくキツツキ。でも、それは一体何のためでしょうか?その理由は大きく3つあります。
まず最初は、餌を採るためです。嘴の動きをよく見ていると首を大きくひねって樹皮をめくるようにしていたり



一カ所を必死につついていることがあります。動きが素早いため、本当に餌を食べているかどうかまではわからないことのほうが多いのですが、集中して木の一部をほじくっているときに観察し続けると、虫をちょうど引っ張りだす瞬間が見られます。


二つめはドラミング。聞き慣れない言葉かもしれませんが、キツツキの場合は枯れた枝などの一カ所を高速で連打する行動のことです。コゲラを含むキツツキの仲間は、シジュウカラのようにさえずりがないため、得意技の木をつつく行動で縄張り宣言や求愛をしていると考えられています。体が大きいキツツキ類は大きな音を立てますが、コゲラはほかのキツツキに比べると非常に小さくて短いドラミングなので、ベテランの方と一緒でないと気がつかないかもしれません。
最後に、巣穴を掘るためです。春に枯れた木に必死に穴を開けているコゲラをよく見かけます。



春の林の中を歩いていると、木屑が地面に散らばっていることがありますが、その場所で見上げてみると、真新しい巣穴がぽっかりと開いています。続きを早く掘りたいと、おそらく近くの枝でウズウズしているコゲラがいますので、ちょっと離れてあげましょう。きっとすぐに戻ってきて掘り始めるはずです。


適当な枯れ枝が見つけにくい環境では、地上に近いところにも作ることがありますが、ヘビなどの天敵に狙われやすいようです。私は見つけたこの巣は地上から50cmほどで、雛が孵る前にヘビが来ました。


心が痛まないわけではありませんが、ヘビも大切な生き物ですから、私はこの命のサイクルは見守るようにしています。

都会派のキツツキ


コゲラは雑木林に生息する野鳥です。行かないと見られない鳥でした。しかし、1990年代になると都会の緑の多い公園などで少しずつ記録されるようになり、2000年代にはすっかり都会の鳥として定着をしました。今では都市近郊の街路樹などの緑を始め、東京の真ん中の日比谷公園にもコゲラがいます。
コゲラが都会に進出できたのは、都会の緑が成熟してきたからだと言われています。戦後の都市整備の中で大小様々な公園ができ、植樹が行なわれてきました。始めのうちは弱々しかった緑も歳月を経て安定した緑に成長し、幹も太くなりました。また、部分的には枯れた枝なども見られるほど一本の木に環境の多様性がでてきたことで、コゲラにとって餌を採る環境と巣穴を掘る2つの生息条件が整ったのだとされています。
海外旅行でさまざまな国にお邪魔したことのある私ですが、都会にキツツキがいる国はあまり多くはありませんので、やはり日本はすごいと思います。これは、日本がもともと木を大切にしてきた国だからだと、私は思っています。これからも都会のコゲラにとって、住み良い日本であってほしいと願っています。

撮影地:
秋田県(男鹿市)、神奈川県(綾瀬市、茅ヶ崎市)、埼玉県(入間市、狭山市)、長野県(信濃町)


お勧め機種:
シジュウカラ同様、コゲラは動きが速いので、8〜10倍の双眼鏡で観察するのがよいでしょう。公園など身近な場所では軽量コンパクトのもので、気軽に探しに行くのもお勧めです。巣穴を見つけたら距離を置いて観察する必要がありますので、この場合は望遠鏡が役に立ちます。

<双眼鏡>
エンデバーEDシリーズ
スピリットEDシリーズ
スピリットXFシリーズ
オーロスシリーズ


<望遠鏡>
エンデバーHDシリーズ
エンデバースコープシリーズ




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